【衆院本会議】副首都法案「数時間の議論、強引な進め方」伊佐進一議員が反対討論

衆院本会議で7月15日、伊佐進一議員が与党提出の議員立法「副首都法案(副首都機能の整備の推進に関する法律案)」に対し、反対の立場、国民民主党提出の議員立法「同日選実施禁止法案(大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部を改正する法律案)」には賛成の立場から討論を行いました。討論後採決が行われ、副首都法案は与党などの賛成多数で可決され、参院に送付されました。同日選実施禁止法案は与党などの反対多数で否決されました。予定原稿は以下のとおりです。
副首都法案 反対討論
中道改革連合の伊佐進一です。
中道改革連合を代表し、副首都法案とその修正案に反対、同日選を禁止する大都市法改正法案に賛成の立場から、討論いたします。
進め方
私たちは、一極集中の打破や首都機能のバックアップ、副首都の議論については、まったく反対するものではありません。災害が激甚化する中、むしろ重要な課題だと認識しています。
しかし、だからこそ今回の法案の進め方は、あまりに拙速と言わざるを得ません。副首都をどう定めるかなどは、国家の統治機構の根幹です。与党自民党の内部の会議ですら、有識者を何度も招致し、議論を重ねてこられました。それを国会においては、わずか数時間の議論で強硬に前に進めるなど、数の力にまかせた、あまりに強引な進め方です。
首都機能の移転についてはかつて、1992年12月、「国会等の移転に関する法律」を成立させ、1996年に国会等移転審議会を設置、3年の審議の後、衆参で特別委員会を設置するなど、丁寧な議論が進められてきました。
こうした国会での議論を無視するかのように、本法案では、副首都の指定などに国会の関与は認めておらず、自治体が手上げ方式で決められるとしており、理解に苦しみます。
副首都の指定だけではありません。そもそもの「副首都が担うべき機能」や「基盤の整備」、「必要な体制の整備の支援」など、統治機構の基本的な事項を定める基本方針にも、国会は関与することはできません。有識者の意見などを踏まえて、政府が決定することとしています。副首都指定のための要件までも政令で定めることとしており、国家統治の基本に対しての国会の関与は、極めて限定されています。
そもそも、「首都」の定義すら現行法制度上存在していません。「首都」の議論がないままに「副首都」の法整備を急ぐ。
さらに理解不能なのは、「副首都の機能」など基本的事項を定める基本方針が策定される前に、なぜか副首都が指定されるということです。何をそんなに急いでいるんでしょうか。国会が、十分な議論をないがしろにしてでも間に合わせないといけない、特定の地域の事情などがあるのでしょうか。
副首都
副首都の整備のために必要な財政も、何ら納得できる説明がありません。
かつて、「国会等移転法」に基づいた1997年の議論においては、首都機能移転の費用として最大14兆円、国会機能を除くなど半分であれば7兆円が必要と試算されています。
本法案によって副首都が指定されれば、「交通通信体系」の整備や「移住等の促進」「地域における大学振興」「創業の促進」「規制緩和の推進」「民間投資促進の税制措置」など、さまざまなインフラ整備やソフト支援が行われることになります。法案審議において、そのおおまかな予算を何度質問しても、「今後検討する」「整備方針で決める」としか答えがありませんでした。
副首都は、道府県の手上げによっていくつでも指定されるため、同じようなインフラ整備が二重、三重で行われることとなります。必要な予算額も、また財源の見通しもないまま、自治体の言われるままに二重、三重で同じようなインフラ整備を進めるのでしょうか。それ自体、国家として二重行政、三重行政そのものだと指摘したいと思います。
都構想
道府県と市との連携については現状、具体的には「特別区」の設置か「連携協約」と示されています。医療介護や福祉、防災や給付などの各種事務などで、基礎自治体の役割がますます期待されるなかで、基礎自治体の権限を奪い、弱くする「特別区」を要件とすることは、本当に適当でしょうか。あえて「特別区」を要件とせずとも、道府県と市との間での「連携協約」で十分ではないでしょうか。
ちなみに、私の地元の大阪では、府市がすでに「一体条例」を締結しています。その条例においては、
「第1条~本市及び大阪府の一体的な行政運営を推進することに関し必要な事項を定める~」
「第2条~本市及び大阪府の二重行政を解消するとともに大阪の成長及び発展を図ることにより、副首都・大阪を確立~」とあります。
すでに「二重行政の解消」どころか、「副首都」の文言まで入っています。この一体条例で十分であるのに、さらに「特別区」を要件に加える理由は何でしょうか。何のための「特別区」であり、何のための「都構想」なんでしょうか。
現在、特別区を設置している東京都は、1943年に東京府と東京市を廃止して誕生しましたが、その趣旨には、「帝都における従来の府市併存の弊を解消し、一元的にして強力な遂行を期す」とあります。大戦の真っただ中、東京府知事は官選として国が任命をしていましたが、東京市長は市議会の選挙によって選出されていました。この統治機構に手を加え、都知事に強大な権限を集中させ、さらに官選として国の任命権のもとに置く。戦争遂行を強力に推し進めることを意図して始まったのが東京都政であり、また特別区でした。
特別区や、都への名称変更は、単なる地方自治体の統合や名称変更にとどまらず、かつて統治機構を民主的な「自治」から国家の「統制」へとシフトさせた歴史の分水嶺だったことを、私たちは十分に認識しておく必要があります。
同日選禁止法案について
次に、同日選禁止法案について申し述べます。
本法案に関連する最も大きな課題は、民主主義をゆがめる可能性のある、住民投票と議会選挙の同日選の取り扱いです。
私の地元大阪では、府知事選挙、市長選挙、府議会議員選挙、市議会議員選挙が来年4月に同日で行われる見込みです。大阪市の存続を決める重要な住民投票にもかかわらず、もしこれも同日選となれば、人を選ぶ選挙の公示日以降は、住民投票運動が制限されてしまいます。また投開票日においては、人を選ぶ選挙の候補者としては活動できませんが、住民投票運動としては活動することが可能となります。さらには、人物を選ぶ選挙と制度を選ぶ住民投票では根拠法も判断要素も異なるにもかかわらず、人に政策が引きずられる可能性があり、また住民に十分な情報が届かないことも、本法案の審議では指摘されました。
なお憲法審においては、こうした事情を踏まえ、憲法改正における住民投票と人を選ぶ選挙は同日にはできないよう、党派を超えたコンセンサスが形成されています。
もちろん、同日選によって事務の簡素化やコストカットできるという意見もあります。しかしこれは、公正公平な選挙を実現するという民主主義のコストであって、削るべきコストではありません。同日選により、公平な選挙が阻害されるリスクの方が大きいと思っています。一言付け加えると、むしろ都構想の再挑戦を理由に知事と市長が辞職してダブル選挙を行うことの方が、よほど住民に強いるコストとして議論されるべきものではないでしょうか。
今国会においては、本法案のように、与党の思惑含みの法案を優先させる姿勢が目立ちました。私たちは「暮らしが、先だ。」との考えのもと、物価高騰や資材不足などに苦しむ国民生活への支援を早くから訴えてきましたが、補正予算の予備費は、いまだ一円たりとも支出されていません。国民の暮らしを後回しにし、自分たちの進めたい法案を先に強引に進めていく。そうした政府与党の姿勢に、強く抗議を申し上げたい。
あらためて、様々な課題のある副首都法案については、チームみらいの修正案によっても根本的な解決とはならないために、原案ならびに修正案には反対。国民民主党提出の同日選禁止法案には賛成といたしたく、議員各位の皆さまの誠意と覚悟をもったご判断を心よりお願い申し上げ、私の反対討論とさせて頂きます。
