【衆院本会議】建設的な補正予算案を提案「国民の命と暮らしを守る責任感を胸に」岡本三成政調会長

岡本三成政調会長は6月3日、衆院本会議において、片山財務大臣の財政演説に対する代表質問を行いました。岡本政調会長は(1)予備費と財源(2)電気・ガス料金支援と低所得者支援(3)ガソリン補助金出口戦略(4)重点支援地方交付金(5)事業継続金融支援(6)雇用調整助成金の柔軟活用(7)資源循環経済への転換――等について政府の見解をただしました。予定原稿は下記の通りです。
政府の財政演説に対する代表質問
中道改革連合・無所属 岡本三成
1.はじめに
中道改革連合・無所属の岡本三成です。
アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃から3カ月。エネルギー価格の高騰、物価高、石油製品の供給不安が、日本経済と暮らしを直撃しています。
私たち中道・立憲・公明の3党は、令和8年度当初予算の段階から緊急経済対策を求め、衆参両院で組み替えや修正を提案。その後も現場を歩き、全国1万2千件を超える声を伺い、4月28日、5月25日と、政府に具体策を提言してきました。
本来、政府の補正予算案提出は、もっと早くあるべきでした。しかも3兆円を超える補正予算案について、予算委員会での審議が衆参それぞれわずか1日では、全く不十分であり、熟議とは言えない国会審議のあり方に、強く警鐘を鳴らしたいと思います。
その上で、今重要なのは、立場を超えて、この補正予算をより良いものに仕上げることです。本日は、国民の切実な声と命と暮らしを守る責任感を胸に、建設的に提案いたします。
2.より良い予算に向けて
まず総理に、「見直すべき政治文化」について伺います。
わが国では、予算案や法律案が修正されると、政府与党は敗北と受け止め、野党は勝利と自慢する空気があります。しかし国民が望むのは、より良い予算や法律で、誰の手柄かなどは関係ありません。
同じ議院内閣制のドイツでは、政府案に与野党が修正を加えながら合意形成を進める慣行があります。修正は敗北ではなく、国民の声を受け止める、柔軟な政治の姿です。
今回の補正予算案も、与野党の立場を越えて審議を尽くし、必要な組み替えを受け入れていただき、より良いものへと仕上げていく。国会の提案を政府が受け入れることは、弱さではなく、国民に向き合う強さだと考えますが、総理のご見解を伺います。
3.予備費のあり方について
政府案は、重点支援地方交付金1千億円を除けば、残る3兆円はすべて予備費です。特定目的の「中東情勢等対応予備費」とはいえ、予備費は本来、予見し難い事案に備えるものであり、財政民主主義の観点からも、きわめて問題があります。
私たちが各地で頂戴したお声は、2月末からの中東情勢の激変により、現に国内で発生している問題であり、暮らしと仕事を支えるために、いま必要とされている具体的な施策です。何に支出するか不明確な予備費として積むのではなく、個別の項目として補正予算に位置づけるべきです。
私たちは、総額は政府案と同じ3.1兆円としつつ、予備費を国民経済を直接支える施策へと組み替える動議を提出します。効果的な経済対策を具体的に予算立てし、一日も早く執行していくことが必要だと考えますが、総理のご見解を伺います。
4.財源について
それでは、補正予算案の中身について質問します。第一に、財源です。
政府は、財源を特例公債で賄う一方、前年度分の発行を減額できるため、発行総額は増やさないと説明しています。しかし、長期金利が上昇し、為替も不安定な今、「結果として総額は増えない」だけでは、市場の不安は払拭できません。仮に金利が急上昇し、円安が物価高を助長すれば、何のための補正予算だったのかということにもなりかねません。
責任ある積極財政というのであれば、その行動で示すべきです。私たちは、3.1兆円の予算を追加の国債発行に頼らず、「積み過ぎた基金」の取り崩しで賄うことを提案します。なお他の基金は、必要な時に現金化できる「交付国債」方式を、広く活用すべきです。基金を現預金で抱え、金利上昇の中で利払いがかさむのは、あまりに非効率だからです。
今回の財源を、新たな国債発行ではなく、資産のやりくりで賄うことで、責任ある姿勢を市場へのメッセージとして示すべきだと考えますが、総理のご見解を伺います。
5.電気・ガス料金支援と、低所得者・子育て世帯への支援について
第二に、電気・ガス料金支援と、低所得世帯への緊急支援です。
まず、私たちが求めてきた電気・ガス料金支援について、政府が決断されたことを評価いたします。すでに猛暑日もあり、この夏の暑さが懸念されます。冷房を控えることは、命の危険に直結しかねません。また電気・ガス料金の減額は、可処分所得を増やし、家計を支える有効な手段でもあります。
一方で、基礎控除の引き上げによる、所得税減税の恩恵が届きにくい方々には、的を絞った現金給付も必要です。物価高の影響が重い困窮世帯や、夏休みに支出が増える子育て家庭に、迅速に支援をお届けするべきです。
総理は、必要な施策を臨機応変に講じる、と述べていますが、こうした世帯に必須の現金給付は盛り込まれ得るのか、ご見解を伺います。
6.ガソリン補助金の出口戦略について
第三に、いわゆる「ガソリン補助金」です。激変緩和策として機能してきたことは評価しますが、一律の補助を続けることは、財政面でも公平性の面でも、持続可能とはいえません。
地方では車が生活必需品であり、支援を必要とする方は大勢いらっしゃいます。一方で、高級車の利用者まで同じ恩恵を受ける仕組みは、見直す時期ではないでしょうか。仮に継続するのであれば、本当に支援を必要とする個人や、地域交通、物流、農業、漁業などの事業者へ重点化していくことも考えられます。また原油から生成されるナフサ由来製品は行き渡らず、一部では極端な値上げが見られることも考慮すべきです。
ガソリン補助金の出口戦略を、どのように描いておられるのか。財政規律の観点からも避けて通れない課題です。総理の具体的なビジョンを伺います。
7.重点支援地方交付金について
第四に、重点支援地方交付金です。政府案の1千億円では、まったく足りません。住民生活に不可欠なサービスの多くが、ナフサ由来資材の価格高騰と供給不足に直面しています。とりわけ深刻なのが、医療・介護・障がい福祉の現場です。注射器や医療用手袋などの製品が届きにくく、小規模事業者ほど継続に不安を募らせています。
これらは、国民の命と尊厳を支える社会基盤です。使途が曖昧な巨額予備費だけでは、誰に届くのかもわからず、安心感も生まれず、課題を解決することはできません。地域の実情を最もよく知る自治体が、柔軟かつ迅速に使える財源こそ必要です。
重点支援地方交付金を大胆に拡充し、自治体が現場支援に充てられる予算を確保していくべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
8.事業継続を支える金融支援について
第五に、事業継続支援です。
いま経済の最前線では、「受注はしたが、資材が高騰し手に入らず、完工できないために売上が立たない」という事態が頻発しています。黒字の会社が、資金繰りの悪化で理不尽に倒産する。これを防ぐには、必要な時に手元資金が確保できる金融支援が欠かせません。これも予備費計上だけでは解決しません。
セーフティネット貸付などを周知徹底し、利用増に備えて公庫等への追加出資することも検討していただきたい。あわせて民間金融機関も含め、コロナ融資のリスケ等にも柔軟に対応し、資金繰り支援に万全を期すべきだと考えますが、財務大臣の答弁を求めます。
9.雇用調整助成金の柔軟な活用について
第六に、雇用です。受注はあるのに資材が調達できず、「5月に仕事ができたのは3日間だけだった」という職人さんもいらっしゃいます。
コロナ禍で私たちは、雇用調整助成金の特例拡充をリードし、多くの生活者を守り抜きました。今こそ、その経験を生かす時です。今回の打撃は、需要が緩やかに減る不況ではなく、「供給ショック」型の急激なものです。そのため平時の要件では、機動的に支援できません。
中東情勢の長期化も懸念されるなか、雇用と暮らしを守り抜くために、雇用調整助成金の支給要件を思い切って緩和し、助成率を引き上げるべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
10.循環型社会への転換 ―― 未来への投資
最後に、未来への投資です。今回の補正予算を、単に現状の政策を維持するためだけの「守りの予算」で終わらせてはなりません。原油高とナフサ不足という「ピンチ」を、むしろ「チャンス」へと変える。今こそ、新しい経済の姿をつくり出す時です。
石油依存から脱却し、経済の足腰を強くすることが重要です。少資源国である日本は、エネルギー安全保障上のリスクを抱えています。だからこそ、海外情勢に振り回される体質を、変えていく必要があります。
その鍵が、サーキュラー・エコノミー、資源を循環させる経済への転換です。廃プラスチックを再びナフサに戻す「リサイクル・ナフサ」や、再生可能資源からつくる「バイオ・ナフサ」など。こうした技術は、すでに国内で動き始めています。資源を使い捨てる経済から、再利用し、新たな価値を生み出す経済へ。この転換を、日本の成長戦略の柱に据えてはいかがでしょうか。
あわせて、省エネを進める好機でもあります。ロボットやAIで生産工程を無人化し、冷暖房や照明を抑えるような省エネ化投資を、税制や補助金で後押しすべきです。生活者に対しても、猛暑のなかで冷房を我慢していただくのではなく、省エネエアコンへの買い替え支援など、省エネと家計の負担軽減を両立する、前向きなインセンティブが必要です。
政府は昨年の「骨太の方針」で、サーキュラー・エコノミーへの移行を、既に掲げています。「日本成長戦略」でも、資源・エネルギー安全保障やマテリアルを、戦略分野に据えています。一時的な支援にとどまらず、同じ危機を二度と繰り返さない基盤をつくること。それこそが政治の責任です。
政府が掲げている方向性を踏まえ、今回の補正予算を出発点として、骨太方針、そして来年度予算へと、具体的な実行へ移していくべきだと考えますが、総理のご見解を伺います。
11.結びに
総理、立法府も行政府も、与党も野党も、目指すゴールは同じ。それは、国民の命と暮らしを守ることです。
物価高のなかで暮らす生活者、資材高と向き合いながら雇用を守る事業者、国民生活を支えるエッセンシャル・ワーカー。そうした一人ひとりの声に、政治は応えていく使命があります。
そのために私たち国会議員には、この補正予算を、より良く仕上げる責任があります。与野党の枠を超えて知恵を出し合い、奮闘する国民の皆様の期待に応えていこうではありませんか。
われわれ、中道改革連合は、ピンチをチャンスに変え、一人ひとりの幸福につながる日本の未来を切り拓いていく。その決意を申し上げ、そして総理の勇気あるご決断を期待して、私の質問を終わります。
