【衆院本会議】経済安保推進法「物価高・物資不足への補正予算を要請」及び「経済安保法改正の遅れとAI・医療リスクを追及」長妻昭議員

衆院本会議で4月28日、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案」に対する趣旨説明と質疑が行われ、中道改革連合を代表して長妻昭衆院議員が質問に立ちました。予定原稿は以下のとおりです。
「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案」
中道改革連合 長妻昭
*下線部が質問、下線ごと括弧内は答弁大臣
中道改革連合の長妻昭です。
本日午前、中道改革連合、立憲民主、公明の3党で、木原官房長官に、イラン戦争の影響で深刻化する物価高や物資不足に対応するため、2026年度補正予算案の早期編成を要請しました。これは、私たちが1万件以上寄せられた個人・法人の意見等を元に、喫緊の課題であると判断したものです。真摯に取り組んでいただきたい。
改めまして、ただいま議題となりました経済安全保障改正法案及びJBIC改正法案について質問いたします。
経済安全保障は、先進国の中でも日本が最も対応が遅れており、その増強は喫緊の課題です。しかし、状況が激変する中、本法案は何周も遅れていると言わざるを得ません。まず、二つの危機を事例として本法案の有効性を質問し、その次に本法案がバラマキや天下りを助長するリスク等についてお尋ねします。
ホルムズ海峡封鎖による経済危機
まず、第一の危機は、ホルムズ海峡の閉鎖に伴う経済の混乱です。まさに経済安全保障の危機でもあり、本法案を現在の経済的危機に当てはめると、どのような効果が上がり、対応が可能なのでしょうか。
仮に本法案がホルムズ海峡閉鎖前に施行されていれば、物資不足に対して、どのような効果を上げていたのでしょうか。
今回、国内で不足し問題化している物資のうち、「特定重要物資」に指定されているものは何があり、事前、事後で、どんな対応を取れるのでしょうか。
また、今回の経済の混乱で役務の提供に支障が出ている「特定社会基盤事業」や「特定社会基盤事業者」としては、それぞれどのようなものがあり、事前と事後で、どのような対応を取るのでしょうか。
また、本改正案が施行されれば第3条の二にある「官民協議会」を開催し、今回のホルムズ海峡閉鎖に伴う経済の混乱についても議論するのでしょうか?(小野田大臣)
法律以前の問題として、そもそも日本は原油のホルムズ海峡からの依存度が今回のイラン戦争の直前では93%であり、この60年間で最も高くなっています。韓国や台湾でも70%であり、危機感がなさすぎました。
なぜ、こんなに依存度が高くなったのか。
また、今後、どのような手段で、何%まで依存度を下げていくおつもりですか。
仮に本法案が施行されていたとすれば、これほどまでに依存度が高くなるという失態を招かなかったのか?お尋ねします。(小野田大臣、赤澤大臣)
医療物資を指定する必要性
現在、特定重要物資として医療関係では、抗菌薬と人工呼吸器が指定されております。しかし、命にかかわる人工心肺装置や人工透析の機器・器材、麻酔設備・器材、手術に必要な器材等は除外されています。含めるべきと考えますがいかがですか。
特にナフサ不足による医療器材不足は深刻です。本法案ではどのような対応がなされるのですか。
また、今後、ナフサ不足が発生した際に、本法案ではどのような備えがなされるのでしょうか。(小野田大臣、上野大臣)
法案修正について
本法案はイラン戦争前に立案されたものであり、今後も同様なケースがあった場合、有効な対応が可能なのか疑問です。
法案修正すべきところがあれば修正に応じる姿勢で臨んでいただきたいが、いかがでしょうか。(小野田大臣)
ミュトスの衝撃
第二の危機は、フロンティアAIモデルである「アンソロピック社」の「クロード・ミュトス」の脅威です。システムの脆弱性を一瞬に見抜き、悪用すれば、いわばどんな金庫でも開けてしまう金庫破りになります。「核兵器並み」と言われる所以(ゆえん)です。いずれ、アンソロピック社以外でも、同様の性能を持ったAIが開発され、悪用が広がるのは時間の問題です。
現行の能動的サイバー防御法案だけでも、国家サイバー統括室だけでも手に負える問題ではなく、サプライチェーンをも破壊する、まさに経済安全保障の問題です。真っ先に狙われる可能性があるのが、金融機関です。「クロード・ミュトス」の出現で、預金が盗まれるリスクは高まっているといえるのか?(片山大臣)まず、金融庁にお尋ねします。
また、通信、水道、電力、運輸などを麻痺させて社会が大混乱に陥るケースも想定されます。政府はその危機感をどの程度お持ちなのでしょうか。
本法案では新たに病院が行う医業等も「特定社会基盤事業」として定めることができる事業に追加しました。現在ある15分野含めて、本法案では、これらの事業が「クロード・ミュトス」に対して、どのような防衛策を取れるのでしょうか?お尋ねします。(小野田大臣)
ミュトスへの対抗策
米国では、「クロード・ミュトス」等への対策として「グラス・ウィング」というプロジェクトを立ち上げ、AIによって防御体制を取るなど取り組みが進められています。日本では単に危機を共有するだけの情けないレベルに留まっており、本法案にある「官民協議会」を活用して、日本版グラス・ウィングのようなプロジェクトを立ち上げるお考えがあるのでしょうか。
本問題は「官民協議会」でも議論されることになるのでしょうか? (小野田大臣)
本来は、手遅れにならないためにも、本法案の審議の前に、迅速に「日本版グラス・ウィング」のプロジェクトを立ち上げるべきと考えますが、いかがですか。これは緊急を要する大問題です。(小野田大臣、片山大臣)
医療分野の追加
基幹インフラ制度に医療分野を追加することとしていますが、医療機関は経営余力が乏しく、人材も不足しています。病院に対して、システムの更新・構築を従来の事業者から高額な事業者へ変更させられる場合や、専門人材の増強を要請される場合もあるのでしょうか?お尋ねします。
その際は、法律での要請となり、断ることは許されないのでしょうか。
その際に発生する費用の補填は考慮されないのでしょうか。
また、最大、いくつのどのような病院が基幹インフラに指定される可能性があるのでしょうか?確認します。(小野田大臣、上野大臣)
これまでの総括
次にバラマキや天下りを助長する恐れについて質問します。その前提として、3年半前に施行された経済安保推進法の総括をしなければなりません。
この3年半の間に権限濫用が発生していないかどうかを、政府として、どのように点検していますか?
また、そのような事案が発生しましたか。
法律の成立・施行前と比較して、個人や企業の利益についてはどのように増進したと評価していますか?数字を根拠に出してお答えください。(小野田大臣)
リスクテイクの在り方
本法案ではJBICの支援に関して、「収支相償の原則」も適用除外、「償還確実性の原則」も適用除外、であり、もはや野放図な補助金と同じです。コロナ緊急時のゼロゼロ融資は別として、損失を前提とした融資をする銀行など聞いたことがありません。JBICによる融資の結果として損失が生じた場合、その判断の是非を検証・公表するのでしょうか。
そもそも主務大臣が事業計画を認定する基準は厳格にあるのでしょうか?報道では「最後は官邸の政治判断で決まるケースも出るだろう」と経済官庁の幹部が話した、とあります。
巨額な企業献金を自民党に提供している企業が優先的に決まるということは絶対にありませんね?確認します。
さらに、高市首相が成長戦略で推進する17分野に損を覚悟で資金を流すなどということはありませんね。これも確認します。(小野田大臣、片山大臣)
重要な海外事業の促進と産業構造の転換
本法案では、JBICが損失を前提にリスクの高い事業への出資もできることとしています。こうした仕組みによって、仮に、淘汰されるべき古い産業技術のために民間資金が動員されるようなことになれば、損失が発生するだけでなく、産業構造の転換を遅らせてしまう恐れがないでしょうか。
加えて、そのようなことが起こらないための歯止め策をお尋ねします。(小野田大臣、片山大臣)
基金の乱用
省庁の貯金箱ともいわれ、今や税金ムダ使いの象徴である「基金」を性懲りもなく、拡大する仕組みが本法案にこっそり盛り込まれています。法律の裏付けある基金を拡大するものです。これまで経済安保推進法でJSTとNEDOの2団体に基金が置かれていたものを、さらに本法案では、基金を造成できる団体を最大35もの研究開発行政法人に広げる条項63条が提案されています。天下りも増える一方ではないですか。最大35法人というのは事実でしょうか。
事実とすれば、とんでもないことです。基金のとめどない拡大は止めて通常予算の措置としていただきたい。見直し、いただけますね。(小野田大臣)
米国投資への活用
トランプ大統領と約束した5500億ドル、約84兆円の対米投資では、赤沢大臣の国会での説明では、「収支相償の原則」と「償還確実性の原則」は守られると答弁しています。今回の法案にある「収支相償の原則」も適用除外、「償還確実性の原則」も適用除外、のJBICスキームは5500億ドルの対米投資で、使うのでしょうか。確認します。(小野田大臣、片山大臣)
総合的な経済安全保障シンクタンク
本法律案において、総合的なシンクタンクを独立行政法人である経済産業研究所に創設する一方、内閣府では別途、「安全・安心に関するシンクタンク」を今年度中を目途に設置するとしています。
政府有識者会議では、まだ出来てもいない、この二つのシンクタンクについて、研究が重複し、二重投資となる可能性があるので「近い将来統合すべき」という提言が出されました。天下りポストが増えるだけです。猛省(もうせい)して一つにまとめてください。いかがですか。(小野田大臣)
これで質問を終わりますが、今後とも、国家が経済を「武器化」して他国に圧力をかけるケースが増えてくると予想されます。同盟国の米国とて例外ではありません。
貿易立国として歩みを進めてきた日本が生き残るためにも、利権や企業献金に左右される不透明な対策であってはなりません。
まさにEBPMが重要です。利権やバラマキでなく、データや客観的証拠(エビデンス)に基づいて政策の目的・手段を決定し、効果を検証・改善しなければなりません。この観点から私たちは、本法案を厳しく審議してまいります。ご清聴ありがとうございました。
【衆院本会議】経済安保推進法改正案への本会議質問原稿 長妻昭議員(2026年4月28日).pdf
