【衆院本会議】令和8年度予算に対する反対討論 中野洋昌議員

衆院本会議で3月13日、中野洋昌議員が「令和8年度予算」に対し、反対の立場から討論を行いました。討論後採決が行われ、「令和8年度予算」は賛成多数で可決されました。
令和8年度予算に対する反対討論
中道改革連合の中野洋昌です。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました、令和八年度一般会計予算、令和八年度特別会計予算、令和八年度政府関係機関予算、以上三案につきまして、反対の立場から討論致します。
今回、高市総理の施政方針演説を伺い、今後の国会審議において、総理をはじめ閣僚の皆様と、正々堂々、切磋琢磨する議論が行えると決意を新たにしておりました。
しかし、予算審議が始まり、その期待は大きく裏切られました。予算の中身に立ち入る前に、今回の政府・与党の「数の力」に物を言わせた、極めて強引な国会運営については、厳しく糺さざるを得ません。
そもそも、事の発端は、1月23日、通常国会が召集され、まさにこれから予算の審議が始まろうとするその日に、高市総理が、衆議院を解散したことにあります。例年通りのスケジュールに当てはめれば、この時点で予算の年度内成立が極めて厳しい状況になることは誰の目にも明らかでしたが、それでもなお解散を強行したのは、他ならぬ高市総理ご本人でした。
総理ご自身も、通常国会冒頭の解散により「国会日程が窮屈になっていることは認める」と答弁されました。しかし、その自覚があるのであれば、年度内成立ありきで拙速に審議を押し進めるのではなく、率先して、丁寧な予算審議を実現するための環境を整備するのが筋ではありませんか。
総理は繰り返し「国民生活に支障を生じないように」年度内成立を目指すとおっしゃいます。国民生活に影響が出ないようにしたいという思いは、我々も全く同じです。だからこそ、我々は早期に暫定予算を編成し、国民生活の安定と予算審議の充実を両立させるべきであると申し上げてきたのです。加えて、通常、暫定予算は必要最低限の中身に限られますが、学校給食費の負担軽減や高校無償化など、党派的な対立が少なく、本予算の成立を待てば国民生活に負担を生じさせかねないものについては、これを組み込んでいくという事も具体的に提案させていただき、暫定予算の成立に協力をすることを明言してきました。にもかかわらず、これに耳を傾ける事なく、日程ありきで物事を進めることは、本当に議会制民主主義のあるべき姿なのでしょうか。
我々が今審議しているのは、総額122兆円という史上最大規模の予算であり、国民1人あたり100万円にも上る貴重なお金の使い途です。したがって、本来であれば、例年通りの審議時間を確保することはもちろんのこと、今まで以上に充実した審議が求められるはずです。しかしながら、高市総理の強い意向の下、逆に、例年よりも相当に少ない審議時間で本日を迎えることになったことは、痛恨の極みであり、大変に残念です。
政府・与党が無理やり審議時間を圧縮しようとした結果、今回の予算審議は異常事態が相次ぎました。その中でも、3月2日、この日は基本的質疑2日目、つまり予算の審議が始まってわずか数日後の理事会で、与党が3月13日採決ありきのスケジュール表を提示してきたことは、常軌を逸していると断じざるを得ません。改めて言うまでもなく、予算委員会に限らず、全ての国会日程は、与野党合意の下で決定されるのが基本であり、与党が一方的に採決までのスケジュールを示すなど、前代未聞です。
そして、この際に示された13日採決ありきのスケジュールで審議を進めるため、予算委員会は、与野党の合意に基づかず、委員長の職権で委員会が立てられることが常態化しました。その結果、きめ細かな審議を実施するために開催されてきた分科会が37年ぶりに未開催となったほか、例年4日あるいは5日行われてきた総理入りの集中審議がわずか1日半に留まるなど、充実審議とは程遠い運営がなされてきました。
その他にも、一般質疑であるにもかかわらず、予算を所管する財務大臣が不在のまま審議が進められたこともありました。かと思えば、逆に、我々が出席を求めていない大臣が、答弁もしないのにずらりと並んでいたこともありました。これまで政府・与党は、全大臣を予算委員会に張り付かせることについて、行政の停滞を招くので控えてほしいと主張してきたはずです。こうした主張も踏まえ、昨年、国会改革の一環で、与野党合意の下、質問通告のない大臣の出席は求めないことと整理されたにもかかわらず、それを覆してまで大臣を張り付かせるのは、まさに国会改革への逆行です。
そうした中で、残念ながら高市総理の答弁の機会は大幅に減少しました。報道機関の調査によれば、昨年の臨時国会と今国会の予算委員会における基本的質疑を比較すると、実に4割以上も答弁回数が減少しているとされます。そもそも、国会審議において、総理と直接質疑できる機会は、基本的質疑と集中審議以外にはほとんどありません。責任ある積極財政はじめ、総理が重要な政策転換を行うとされたこの令和8年度予算案の審議において、総理ご自身のお考えを説明して頂く機会が極めて限られていたという事は、立法府全体にとって大きな損失だったと言えるのではないでしょうか。
加えて、他委員会においても、例えば文部科学委員長が遅刻し、委員会が流会するなど、気の緩みと言わざるを得ない事象で、委員会運営に影響が出ている事も大変に遺憾です。
とりわけ、文部科学委員会は、いわゆる「高校無償化」や35人学級の実現を図るための重要な「日切れ扱い法案」を抱えています。高市総理は先の施政方針演説で「今年度末までに成立が必要な法案の早期成立に御協力ください」と呼びかけられましたが、そうおっしゃるならば、まずは政府・与党を律するのが先ではありませんか。
以上申し上げた通り、この間の国会運営は看過しがたいものがありますが、予算そのものが抱える問題についても、指摘をさせて頂きます。
本予算は、昨年12月末に閣議決定をされたものであり、今般のイラン情勢の緊迫化、ホルムズ海峡封鎖等による国民生活への影響は考慮されておりません。特に原油については、供給の急減により、価格が高騰し、「第3次オイルショック」とも言うべき事態が生じる可能性もあり、早急な対応が求められるところです。
しかしながら、高市総理は、予算の組み替えや追加の予算措置は現段階で考えていない旨答弁をされました。石油備蓄の放出や、基金の残額を用いたガソリン補助金の再開など、当座の対応は予定されていますが、原油の先物価格が大きく上昇し、今後、暫定税率の廃止を以てしてもなお、ガソリン価格が200円、あるいは最悪のシナリオでは300円に達し、実体経済に深刻な影響が生じることが想定される現状にあって、全く十分な対応とは言えません。
こうした状況に鑑みれば、イラン情勢の影響が、需要期である夏まで及ぶことを想定しつつ、国民生活の予見可能性を高めるため、燃油・電気・ガス価格の引き下げにかかる財政措置を早急に講じることが必要です。また、昨年同様、物価高が国民生活に重くのしかかる中、法人税とたばこ税の増収で必要な防衛財源を賄える見込みがあるにも関わらず、「防衛増税」を実施することは、国民生活を軽視するものであり、到底容認できるものではありません。
こうした認識の下、我々は、本予算について、撤回のうえ編成替えを求める動議を提出致しました。本動議は、国民生活を守るため、燃油・電気・ガス価格の引き下げや「防衛増税」の撤回など、必要最低限の内容に限定して予算の変更を求めるとともに、特例公債の発行減額により、「責任ある積極財政」により揺らぎつつある財政に対する市場の信認の維持を図るものでありますが、与党の反対に遭い、否決されるに至りました。
本動議が否決された以上、既に申し上げた通り、政府提出の原案には様々な課題が存在していることから、令和8年度予算については、反対をするものであります。
最後に今、議場におられる全ての国会議員の皆様に、改めて問います。私たち立法府に所属する議員は、国民の負託を得てこの場におります。
今回、予算委員会の審議時間が短縮され、また分科会も開催されなかったことで、一度も質問の機会を得られないまま予算案の採決を迎えざるを得なかった議員も多いのではないでしょうか。
国民の声、現場の声を、行政府に届け、国会の審議を通じて予算の執行や今後の政策に反映させる事は、議会制民主主義の基本であり、私たち立法府にしかできない役割です。国会は、国権の最高機関であり、政府の下請け機関ではありません。
これまで先人が長い時間をかけて積み重ねてきた先例が踏みにじられ、多くの議員がその「議論」の機会そのものを奪われた現状を、やすやすと許してよいのでしょうか。
我々は、議会人としての矜持を持って、これに強く抗議をするものであります。
我々中道改革連合は引き続き、国会における熟議を通じて、より良い社会を実現していくべく、全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、反対討論と致します。ありがとうございました。
以 上