【衆院本会議】「食糧法改正案」米の安定供給や民間備蓄創設等について角田秀穂議員が質問

20260512衆院本会議角田秀穂議員

 衆院本会議で5月12日、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案」に対する質疑が行われ、角田秀穂衆院議員が会派を代表して質問しました。予定原稿は以下のとおりです。

食糧法改正案質疑

中道改革連合 角田秀穂

 中道改革連合・無所属の角田秀穂です。ただいま議題となりました「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案」について、会派を代表して質問いたします。

 イラン情勢の影響はガソリン、軽油など燃料の高騰にとどまらず、海上運賃の高騰や円安による肥料、飼料、生産資材価格の高騰、供給不足により、農業にも深刻な影響が及んでいます。生産者を守り、国民の暮らしを守るため、私たちは現場に足を運び、1万2000件に及ぶ現場の声を受けとめ、政府に対して緊急の要望を行いました。物価高騰、原材料の調達難、実質賃金の低下による家計の圧迫。調査によって浮き彫りとなった多くの国民が直面する困難、先を見通せない不安を解消するため、政府においては早急に経済対策をとりまとめ、補正予算を編成することを強く求めます。

 食糧法改正案について質問します。我が国の農業生産の現場は基幹的農業従事者の高齢化が急速に進行しており、平均年齢は2024年時点で69.2歳、稲作単一経営では半数以上が70歳を超えています。国民の主食である米の安定供給を将来にわたって確保するためには、何よりも次代を担う人材の確保と育成が急務であり、そのためには、若い人々が将来に希望を持って農業に挑戦したいと思える環境づくり、そのための政策の推進が強く求められます。

 中道改革連合では、コメ政策の抜本的見直しを掲げ、コメ価格が急落する恐れが生じた場合にはトリガーを発動する、主食用米直接支払いの創設などを訴えています。

 食糧法改正案では、目的に「需要に応じた生産」の推進を規定していますが、需要に応じた生産は従来から農政の基本としてきた方針であり、その方針のもとで令和の米騒動といわれる混乱が生じました。米騒動を機に政府は、従来の方針を転換して増産に舵をきるのかと思えば、再び従来の需要に応じた生産だといわれることで、生産者からは需要が減れば再び生産調整を強いられることになるのではないか、それでは将来を見据えた営農ができないといった今後に対する不安の声も聞かれます。

 生産者が安心して米作りに取り組めるようにするためには、まず、作付けを判断する際の拠り所となる政府の主食用米等の需要見通しが信頼に足るものでなければなりません。需要に応じた生産を掲げるのならば、産地別、価格帯別といった、きめ細かな需要把握と生産者への適時適切な情報提供が不可欠です。需要予測の精緻化をどのように図ってゆくのか伺います。

 安定した経営を可能とするセーフティネットの充実も不可欠です。生産から消費に至る食料システム全体で費用を考慮した価格形成を進めることを目指した食料システム法が施行され、米をはじめ主要な品目についてコスト指標の作成が進みつつあります。生産の現場からはコスト指標を活用した再生産可能な価格の形成に期待する声が聞かれますが、肥料や燃料など生産資材を海外からの輸入に大きく依存しているため、国際市況や円安の影響を受けやすい構造ゆえに、現在も中東情勢によるコスト上昇分を直ちに転嫁できず、コスト割れに陥るリスクが高まっています。収入保険など現行の経営安定対策は収入の減少を補うもので、コスト上昇による採算割れにはセーフティネットとして機能しません。食料安全保障を担う生産者が安心して営農するためには、コスト指標も活用してコストに着目したセーフティネットを構築すべきと考えますが見解を伺います。

 コメ価格の高騰で消費者のコメ離れによる需要の減少が懸念されます。実際に、2025年度の一人1カ月当たりの精米消費量が、前年度から6.1%減となったとの米穀機構の調査結果も出ています。食料農業農村基本計画では、米の生産量を2023年の791万トンから2030年には27万トン増の818万トンに引き上げる目標を掲げています。このうち輸出を2023年実績の8倍近い35万トンへと大幅に引き上げるとしていますが、生産量目標達成に向けて、国内のコメ離れをいかに防ぎ、輸出の大幅拡大をどのように図っていくのか、今後の道筋を具体的に示してください。

 流通実態の把握のための新たな届出制度と報告義務化について伺います。

 一昨年秋以降の急激なコメ価格の高騰は小売りに至るまでの流通の目詰まりが大きな要因といわれますが、どこで目詰まりを起こしているのか、集荷業者以外への出荷量が約半分を占めるようになるなど、多様化している流通の全体像を把握できず、効果的な対策を迅速に講じることができませんでした。改正案では届出事業者の対象を拡大して在庫数量等の定期報告を義務付けることとしていますが、昨年、コメの流通実態を把握するために全ての届出事業者、約7万事業者に緊急に実施した販売・在庫量調査への回答率はわずか19%にとどまり、4分の1は宛先不明でもどってきてしまいました。新たに対象となる中食・外食事業者などからは事務負担の増大を懸念する声も上がっています。制度の実効性をどう確保するのか。また、多様化が進んでいる流通実態の把握、需給見通しの精度向上のためには農家直販やECサイト利用の増加に対応した調査のあり方の見直しも必要と考えますが、見解を伺います。

 民間備蓄の創設について伺います。まず、民間と政府を合わせた備蓄水準の考え方について。改正案では備蓄の保有目的について、現行の生産量の減少による供給不足とともに、需要量の増加による供給不足への備えを新たに追加し、政府備蓄を補完するものとして民間備蓄の創設を規定していますが、これまでの備蓄水準100万トンは、凶作や2年続きの不作、すなわち生産量の減少への備えとして適正な水準とされてきたものです。流通の目詰まりへの対応として行われた昨年の備蓄米の売り渡しでは、短期間のうちに適正水準の3割程度まで減ってしまった事実に照らしても備蓄目的の追加に対応して備蓄の水準も引き上げるべきと考えます。今後の適正な備蓄水準の考え方について伺います。

 昨年の政府備蓄米売渡しでは、対応が後手に回ったうえに、なかなか消費者の手元に届かない、地域的にも差が生じたという問題が明らかとなりました。政府備蓄米の売渡しは、会計法上、国が売買契約を結ぶ場合には原則として競争入札で行うこととなっており、備蓄米の売渡しについては随契でできるのだと整理した対応などは、食糧法、会計法の規定から見て明確な判断基準もなく、政府の裁量で可能とすることはやはり無理があります。需給バランスが崩れた際に迅速に食料が行き渡るようにするため、国だけではなく、民間とも連携、連動した仕組みを早急に検討すべきと訴えてきましたが、従来の運用に比べ機動的な対応が期待できる民間備蓄を創設することは評価いたします。ただ、供給不足が生じた際に迅速、確実に必要とされる消費の現場への供給を行うには、消費の現場に至るまでの日常的なきめ細かい流通実態の把握が前提となります。供給不足の発生をどのように把握するのか伺います。

 民間備蓄の売渡を要請せざるを得ない局面では、供給の不足に伴って価格も上昇していると考えられます。国産米の価格高騰に伴って昨年の日本における米の民間輸入量は、前年の約95倍となる約9万7,000トンに急増し、2000年以降で過去最大となりました。唯一自給が可能な米が輸入米に置き換わるような事態は食糧安全保障の観点からも看過できないことであり、国民生活の安定のためには入手しやすい価格での売渡しが行われるべきです。売り渡し価格の決定方法について伺います。
昨年の特に入札による備蓄米売渡の際には、従前取引のある卸には販売されたが、そうでない卸や小売りには備蓄米が行き渡らなかったという指摘もあります。消費者もどこに行けば米を買うことができるのか分からないまま、何軒も探し回らなければならないといった混乱が生じました。そのような事態を再び招かないよう売渡先についても要請の内容に含めるのか伺います。

 食糧安全保障のうえからも重要な役割を担うことになる民間備蓄を行う事業者に対する支援について伺います。既存在庫に加えて供給不足に備えた備蓄米を保有することになる民間事業者が不利益を被ることがないよう保管費用だけでなく掛かり増し経費や長期保管に伴う評価損も含め十分な支援を行うことが制度の円滑な運用のためにも不可欠と考えますが、見解を伺います。

 食料システム法が施行され、合理的価格形成を進める一方で、その価格では手の届かないという人も含めて全ての人が食料を入手できる環境の整備が強く求められます。主食であるコメについては、備蓄米の子ども食堂、フードバンクへの無償提供の拡充が図られていることは評価いたします。しかしながら、この無償提供は、食糧法施行令第十五条で「主要食糧の交付は、地方公共団体その他農林水産大臣が適当と認める者が主要食糧を試験研究又は教育の用に供しようとする場合に行うことができる」との規定に則って、教育のうちの食育の一環として提供するものだとの整理で、あくまでも特例的に行われているものです。

 国民生活基礎調査によれば、相対的に貧困の状態にあるこどもの割合は11.5%となっており、特にひとり親世帯の貧困率は44.5%に達しています。いま、求められているのは食料を入手できない家庭に対する支援です。食料・農業・農村基本法が基本理念に掲げる食糧安全保障は、国民一人一人が良質な食料を入手できる状態と規定しています。現に食糧を買うことができない、多くの子ども、家庭に対する支援を通じて一人一人が食料を入手できる環境整備のためには、政令の規定も見直すべきと考えます。見解を伺います。
(ここまでの質問は農林水産大臣)

 地球規模での気候変動に対して、多収性や高温耐性、病害虫抵抗性などを持った新品種の開発、導入促進の必要性が高まっており、そのためにも、国際研究協力に更に力を入れていかなければなりません。国際稲作研究などを傘下に持つ世界最大の農業研究ネットワークである国際農業研究協議グループ、CGIARの主要ドナー国として日本は、一九九〇年代は拠出金額では第三位でしたが、現在では二十二位に後退し、一昨年は、設立以来保ってきた理事のポストも失っています。組織全体の運営を支えるコア拠出を受け持つ外務省の予算削減が大きな要因です。食料安全保障確保のためにも、国際研究協力の場での日本の発言力を確保する。そのために予算を増額し資金協力を積極的に行ってゆくことを求めますが、外務大臣の答弁を求めます。(外務大臣)

 生産者、流通事業者、そして消費者、それぞれが将来に安心を持てる制度となるよう、政府には真摯な答弁と責任ある対応を求め、質問を終わります。

 ご清聴、ありがとうございました。

20260512衆院本会議角田秀穂議員

食糧法改正質疑(中道・角田秀穂).pdf

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