【衆院本会議】「新たな脅威に備え情報力強化を」大島敦議員

衆院本会議で4月23日、「国家情報会議設置法案」について、大島敦衆院議員が賛成の立場から討論しました。予定原稿は以下のとおりです。
国家情報会議設置法案についての賛成討論
中道改革連合 大島敦
私は、ただいま議題となりました国家情報会議設置法案について、会派を代表し、賛成の立場から討論を行います。 我が国を取り巻く脅威の質は、大きく変化しています。もはや、安全保障上の脅威は、従来のように「武力攻撃があるかないか」という単純な構図だけでは捉え切れません。サイバー攻撃、偽情報の拡散、影響工作、経済的威圧、技術流出、スパイ活動、重要インフラへの干渉など、軍事と非軍事、有事と平時、国内と国外の境界が曖昧になっています。
そして、政府が把握し、分析すべき情報の対象も拡大しています。外交・防衛情報だけでなく、金融、経済産業、国土交通、通信、宇宙、サイバー、エネルギー、食料、先端技術、重要インフラなど、国民生活と経済活動に直結する幅広い分野の情報が、安全保障上の重要情報となっています。 こうした時代において、政府内の情報を適時に集約し、複数の省庁が持つ情報を総合的に分析し、政策判断に活用できるインテリジェンスに高めていく仕組みを強化することは、我が国にとって避けて通れない課題です。
もちろん、現行体制においても、内閣情報調査室を中心に、政府の情報活動は一定の役割を果たしてきました。しかし、情報分野において、閣僚級で基本方針を示し、政府全体を俯瞰して総合調整する仕組みは、なお十分とは言えませんでした。
本法案は、国家情報会議に対して、関係行政機関が資料又は情報を適時に提供し、議長の求めに応じて必要な協力を行う仕組みを置くとともに、国家情報局に、重要情報活動等に関する企画立案、総合調整、情報の収集調査、整理、総合分析を担わせるものであります。 これは、省庁ごとに分散した情報を、内閣、そして総理大臣を支えるレベルで統合し、政策判断に使える知識、すなわちインテリジェンスに高めていくための制度であります。政府の的確な意思決定を支える基盤を整備するものとして、私たちはその必要性を認め、本法案に賛成いたします。 米国では、2001年9月11日の同時多発テロの教訓として、情報機関をただ並べているだけでは国家を守れないという厳しい反省がありました。外国情報と国内情報の断絶、機関間の情報共有の不備、総合分析の不足が大きな問題として認識され、国家情報長官、いわゆるDNIと、それを支える組織が設けられました。
もとより、本法案は、米国の制度をそのまま我が国に移植するものではありません。日本には日本の行政組織、憲法秩序、民主的統制の在り方があります。しかし、各機関が情報を持っているだけでは足りず、それを国家として共有し、統合し、政策判断に結びつける司令塔が必要であるという教訓は、我が国にとっても重要であります。
他方で、インテリジェンス機能の強化は、それ自体が目的ではありません。国民の生命、身体、財産を守り、我が国の独立と平和を守るための手段であります。そして、その手段は、常に憲法の下に置かれ、国民の自由及び権利を不当に侵害するものであってはなりません。
情報機能や情報保全を強化する際には、国会による監視、報告、説明責任といった民主的統制を併せて整備することが重要です。特定秘密保護法についても、その後、国会法改正により各議院に情報監視審査会が設置されました。国家の情報力を高めるのであれば、それに見合う国会の関与と国民への説明責任が不可欠であります。
また、政策と情報の関係については、緊密な連携と適切な距離の双方が必要です。政策側の情報要求を正確に受け止めなければ、インテリジェンスは政策判断に役立ちません。しかし、政策側が望む結論に合わせて分析を曲げることがあってはなりません。情報部門が特定の政策を正当化するために、情報を恣意的に取捨選択することも許されません。 政治による民主的統制と、情報分析の独立性、客観性をどう両立させるか。ここに、国家情報会議と国家情報局を運用する上での最大の要諦があります。政府には、政策部門と情報部門の役割分担を明確にし、情報の政治化を防ぎ、客観的な分析が総理及び関係閣僚に届く運用を徹底することを求めます。 国民の表現の自由やプライバシーの保護も極めて重要です。本法案は、新たな個別の情報収集権限を創設するものではありません。しかし、政府の情報活動を強化する以上、国民生活が監視されるのではないか、政府に批判的な言論や政治活動が調査対象になるのではないか、といった懸念に、政府は正面から答えなければなりません。
我々は委員会質疑において、政府の政策に反対するデモや集会に参加した人が、それだけで調査対象になるのかという点を確認しました。これに対し、政府からは、政府の政策に反対するデモや集会に参加しているということのみを理由として、普通の市民が調査対象となることは想定し難いとの重要な答弁を得ました。
この答弁は、今後の運用を拘束する重い答弁であります。政府には、この趣旨を厳格に守り、表現の自由、集会の自由、思想及び良心の自由、プライバシーを侵害することのないよう、徹底した運用を求めます。
さらに、附帯決議において、国家情報会議及び国家情報局の活動内容等について、国民の懸念を払拭するため、国会に適時適切に説明することが盛り込まれました。これは、直ちに十分な監視制度が完成したということではありません。しかし、情報活動に対して国会が継続的に関与し、政府に説明を求めていくための重要な足掛かりであります。
最後に、テクノロジー革新への対応について申し上げます。AIを始めとする先端技術の進展は、従来の延長線上では捉え切れない速度で進んでいます。特にサイバー空間においては、AIが脆弱性の発見、分析、防御支援に大きな力を持つ一方、その能力が悪用されれば、攻撃側の能力も飛躍的に高まり得ます。 したがって、国家情報会議が扱う基本方針や、今後策定が検討される国家情報戦略においては、AI、サイバー、OSINT、重要インフラ、経済安全保障、認知領域を横断し、技術革新がもたらす非連続な変化を常時把握し、政府全体で迅速に対応する仕組みを盛り込むべきであります。 本法案は、我が国の情報力を強化するための出発点であります。同時に、民主的統制、人権保障、情報分析の客観性を不断に確保しなければ、その正当性は保たれません。
私たちは、政府に対し、国会への説明責任を果たし、国民の自由と権利を守り、情報の政治化を防ぎながら、国家の情報力を高める運用を強く求めます。 その立場から、国家情報会議設置法案に賛成することを申し上げ、私の討論といたします。以上
