【衆院本会議】「データ利活用の推進にあたり、個人情報の保護の徹底を」山崎正恭議員

20260421デジタル行政推進法および個人情報保護法改正案 山崎正恭議員

 衆院本会議で4月21日、「デジタル行政推進法」および「個人情報保護法改正案」に対する趣旨説明質疑が行われ、山崎正恭衆院議員が会派を代表して質問しました。予定原稿は以下のとおりです。



デジタル行政推進法および個人情報保護法改正案に対する本会議質問

2026年4月21日         

中道改革連合 山崎正恭

 中道改革連合・無所属の山崎正恭です。

 冒頭、昨日の三陸沖地震で被災された方々に心より御見舞い申し上げます。

 気象庁及び内閣府防災は今回の地震を受け「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しています。

 私自身、わが国で暮らす皆様の命を守るため、正確な情報を収集し、全力で行動してまいる所存です。政府におかれましても、最優先で、徹底した対策を行っていくよう強く求めます。

 あらためて、ただいま議題となりました「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案」、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」について会派を代表して質問いたします。

 今回政府提出の各法案は、生成AIやビッグデータ利活用を国家戦略の中核に据えるものでありますが、個人情報等のデータは経済と行政を支える「21世紀の社会基盤」となる一方、経済資源である以前に、国民一人一人の人格、生活、思想、行動に深く関わる情報です。その扱いを誤れば、個人の尊厳や民主主義そのものを脅かす危険をはらんでいるのみならず、その領域は広く国境を超え、サイバー安全保障、すなわち情報戦、認知戦を通じた国家の安全保障にも関わる重大な懸念にもつながります。

 こうした国境を超えた安全保障領域に関連し、今朝閣議決定された防衛装備移転三原則及び運用指針の見直しについて質問します。今回の見直しは、与党の提言を踏まえ、防衛装備の海外移転については、いわゆる5類型を撤廃し、国際共同開発・生産あるいはライセンス生産品以外の完成品である自衛隊法上の武器も移転できるようになると承知しています。改めて、5類型を撤廃するだけの具体的な必要性がどこにあるのか、政府の見解を伺います。また、今回の三原則及び運用指針の見直しにおいて、与党提言では明示的に示されていなかった「国会への事前通知」や「移転先国での装備品の管理状況の把握」といった行動要件を我が党は主張してきました。こうした我が党の主張も踏まえて、国会の関与及び移転後の管理がどのように強化されるのか、政府の見解を求めます。以上、小泉防衛大臣に伺います。

 さて、本法案は、本人同意の例外拡大、救済制度の不十分さ、監督体制の脆弱さなど、重大な問題を多く残しています。そこで、自由で安全なデジタル社会の確立に向けて、いくつかの重要論点について松本尚国務大臣に伺います。

 まず初めに、個人情報保護の根幹に関わる理念について伺います。「個人情報保護の理念」をどう考えるのかという事です。

 個人情報保護は、単なる漏えい防止の技術論ではありません。国民の自己決定権、人格的自律、そして民主主義の基盤そのものを守るための、人権保障であるとの認識が国際的に広まっています。EUでは、GDPR(一般データ保護規則)において個人データの保護を「自然人の基本的権利」として明記しており、人格的自律、そして民主主義の基盤を守る法哲学が貫かれています。一方、日本の個人情報保護法は、長らく「経済政策」としての色彩が強く、個人の権利としての体系化は十分とは言えません。

 今回の改正案において、単なる産業振興策ではなく、個人の権利を実質的に守る制度改正として位置づけているのか。政府として、個人情報保護を基本的人権として、どう認識しているのか、明確な答弁を求めます。

 次に、本改正案では、第三者提供やデータの利活用について、本人同意を不要とする例外が新たに拡大されていますが、「契約の履行のために必要やむを得ないことが明らかである場合」や「本人の権利利益を害しないことが明らかである場合」といった文言は極めて曖昧であり、事業者側が都合よく拡大解釈する余地が大きいとの懸念があります。これでは、形式的な「同意書」だけが独り歩きし、本人の意思が軽視されるおそれがあります。本人同意の原則を崩しながら、どこで歯止めを掛けるのか。

 大臣、この「必要やむを得ない」「明らか」とは、誰が、どの基準で、どのように判断するのか。本人の権利利益を守るための客観的な判断基準と、事後的な検証手段を具体的にお示しください。

 次に、本改正案は、AI開発や統計作成を名目に、要配慮個人情報を含むデータの利活用を広げようとしています。

 しかし、生成AIや分析AIは、誤った学習や偏ったデータによって、差別や排除を増幅させる危険があります。昨年成立した「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI推進法)は、AIの利活用促進を目的とした基本法的性格のものであり、事業者への罰則規定を持ちません。AI法に罰則がない以上、個人情報保護法上での実効的な監督が不可欠であります。AI開発の名の下に、差別的なアルゴリズムや、個人の尊厳を損なう利用が進むおそれを、どう防ぐのか。監督・監査体制をどう強化するのか、明確にお答えください。

 次に、十六歳未満の子どもの個人情報について、伺います。

 子どもの個人情報については、国際的にみるとセンシティブデータとして取り扱われている国や地域もあり、より慎重な取り扱いが求められると考えます。今回の改正では、同意取得や通知等について当該本人ではなく法定代理人を対象とすることが明文化されるほか、一部の例外を除いて違法行為の有無等を問わない利用停止請求が可能となることについては評価します。

 子どもや若者が将来にわたって不利益を被らないように、また、権利利益をしっかりと保護していくために、利用停止等請求をすれば自分に権利利益を侵害するようなデータは削除できる、という事をしっかり周知していく事も必要だと考えますが、大臣の見解を伺います。

 次に、課徴金制度の導入は歓迎すべき面がある一方、被害者千人超という極めて限定的な要件では、実際の悪質事案を十分に抑止できません。少数被害であっても、深刻な不正利用が起きれば、本人の人生は大きく傷つきます。にもかかわらず、対象を狭く絞れば、違反抑止の実効性は弱まります。

 なぜこのような限定的な制度設計としたのか。千人超の根拠は何か。抑止の実効性をどう担保するのか。形式的な課徴金導入で終わらせず、被害者数や損害規模の拡大に応じた段階的な課徴金の引き上げや、対象要件の見直しについて継続的に検討すべきではないか、答弁を求めます。

 次に、今回の法案で最も強い懸念点、団体による差止請求・被害回復制度をなぜ外したのかについて伺います。

 個人の救済を実効的に行うためには、被害者本人による対応だけでなく、消費者団体などが代理して申立てを行える制度も不可欠です。こうした「団体訴権」は欧州では広く導入されており、デジタル監視社会への歯止めとして機能しています。

 本改正案に着手した当初は、被害が生じた場合の事業者への制裁や、事後の救済策の導入として、「課徴金制度の導入」と共に違反行為の迅速な差し止めや被害回復を個人に代わって消費者団体などが行える「団体訴訟制度」も検討されていましたが、今回、国会に提出された改正法案では、「団体訴訟制度」は見送られていました。これについて全国消費者団体連絡会への伝達は個人情報保護委員会による方針決定の前日であり、落胆と憤りの声が多く上がっております。

 政府は実効的な救済の柱となるべき団体による差止請求制度や被害回復制度を今回も見送りました。これは、国民の権利救済を後回しにし、事業者の自由なデータ利用を優先したと言わざるを得ません。

 大臣、なぜこの制度を外したのか。消費者団体からの切実な懸念をどう受け止めたのか。被害者本人だけに救済を押し付ける現行制度の限界を、政府は本当に理解しているのか。国民の権利を守る気があるのか、大臣のお考えを国民の皆様にお示しください。

 次に、個人情報保護委員会の体制について伺います。

 個人情報保護委員会への報告件数は近年急増し、令和2年度比で約4.6倍に達しています。課徴金制度やデータ提供の拡大により、今後さらに業務は複雑化・増大するのは明らかであります。にもかかわらず、令和8年度末で職員数はわずか5名増の242名にとどまる見込みで執行体制の拡充は極めて限定的であり、独立した監視機関としての実効性を維持できるのか、極めて疑問です。

 これで本当に、違反を抑止し、国民の救済に応じ、国際的なルール形成にも対応できるのか。個人情報保護委員会を単なる事後処理機関にしてはなりません。監視機関としての独立性、専門性、機動性をどう確保するのか、具体策をお示しください。

 次に、本法律案において、内閣総理大臣は「国等データ活用事業指針」を策定することとされていますが、政府は当該指針においてどのような分野を重点分野として想定しているか。また、政府は重点分野の選定にあたってどのような基準を設けるのか。さらに、当該指針の策定に係る検討はどのような者が参画する会議体において行われるのか。指針が事業者にとって事実上の指針になると指摘されていることも踏まえ、官民双方の関係者のみならず、消費者代表や有識者も含めた幅広い関係者が広く関与できる透明なプロセスを確保する必要があると考えますが、政府の見解を伺います。

 次に、政府は、官民でのデータ利活用を推進するにあたり、デジタル人材の確保が不可欠であると認識しているはずですが、現状では日本のITエンジニア全体に占める女性の割合は約18.8%にとどまり、OECD加盟国平均の約20.6%を下回っています。加えて、IT分野・STEM分野の大学卒業者における女性比率でも、日本はOECD加盟国の中で最下位となっており、将来的なジェンダーギャップのさらなる拡大が危惧されます。

 また、社員のリスキリングに取り組む日本企業の割合は2022年度から2023年度にかけて56.1%から42.7%へと減少しており、米国の9割以上が学び直しを実施していることと比較しても、日本の取組は著しく遅れています。

 こうした現状を踏まえ、政府はデジタル人材の確保に向けてどのような対策を講じるのか。特に女性デジタル人材の育成を推進するとされる令和7年重点計画の具体的な進捗と、今後の施策の方向性について伺います。

 以上、松本尚国務大臣に質問いたします。

 本法案は、データ利活用の名の下に、国民の権利保障を後退させるものではないかという重大な懸念を含んでいます。私たち中道改革連合は、便利さのために人権を犠牲にすることは認められません。

 抽象論ではなく、国民の不安に真正面から答える、具体的かつ誠実な答弁を強く求め質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【衆院本会議】デジタル行政推進法および個人情報保護法改正案への本会議質問原稿20260421.pdf

20260421デジタル行政推進法および個人情報保護法改正案 山崎正恭議員

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