【衆院本会議】「防衛装備移転の拡大と国会統制の在り方を問う」吉田宣弘議員

衆院本会議で4月16日、「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が審議入りし、吉田宣弘議員が会派を代表して質問に立ちました。予定原稿は以下のとおりです。
防衛省設置法等質疑
2026年4月16日
中道改革連合 吉田宣弘
中道改革連合の吉田宣弘です。私は、中道改革連合・無所属を代表し、ただ今議題となりました防衛省設置法改正案について質問致します。
まず、冒頭、本改正案を所管する防衛大臣及び防衛省も大いに注視していると推察されるホルムズ湾の封鎖等、イラン情勢の緊迫化が国民の生命や健康に深刻な影響を及ぼしかねないという観点から、医療用品の供給の確保について質問します。
とりわけ、人工透析は透析患者が命をつなぐ大切な医療です。人工透析の結果、廃液が発生します。この廃液は適切に処理される必要があり、通常は医療廃棄物として管理されます。然るに、人工透析の廃液を回収する容器は、日本国内シェア7割をタイ製のものが占めている、イラン情勢の緊迫化で、タイへのナフサ供給が今月半ばで終了する可能性もある、との状況をお聞きしました。結果、廃液回収容器が日本に輸入できず、透析治療に支障が出る可能性が危惧されます。
①今、現場に必要なのは、ナフサを原料に製造される製品です。特に医療用の製品の不足は国民の命に直結します。政府として医療用製品の不足が生じないように、ナフサを原料とした製品、特に透析用の医療用品の確保にも注意を払うべきと考えますが、上野厚労大臣の見解をお聞かせ下さい(厚労大臣)。
次に、核兵器の拡散抑止は日本の防衛政策ひいては今後の防衛省設置法の在り方にも大いに影響があると推察されます。この点、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が4月27日からニューヨークの国連本部で始まります。直近の再検討会議は2回連続で最終文書を採択できずに決裂しており、国連の中満軍縮担当上級代表(事務次長)は「今回も成果文書を出せなければ、条約の空洞化が始まる可能性がある」と危機感を示しているとのことであります。
しかし、報道によると今回の会議には高市総理や茂木外務大臣も出席を見合わせるとのことです。2022年には運用検討会議に岸田総理が、2025年には運用検討会議準備委員会に岩屋外務大臣が出席されているので、残念であります。 そこで、②今回行われる再検討会議に対する政府の認識と総理も外務大臣も出席を見合わせ外務副大臣の出席に留める理由についてお聞かせ下さい(外務大臣)。
次に、防衛装備品の移転について改定が予定されている国家安全保障戦略と関連して質問致します。
③小泉防衛大臣は安全保障委員会における大臣所信の中で「三文書を前倒しで今年中に改定します。」と述べられました。前回の改定から三年と四か月しか経過していませんが、改定の背景となる我が国を取り巻く安全保障環境に対する防衛省の認識は前回改定時と比べてどのように変化しているのでしょうか、お答え下さい(防衛大臣)。
次に、小泉防衛大臣は「防衛装備移転は、力による一方的な現状変更を抑止し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出する重要な政策的手段であり、防衛産業の成長にも資するものです。」とお述べになりました。
では、④防衛装備品移転は、なぜ、力による一方的な現状変更を抑止することになるのか。我が国にとって望ましい安全保障環境を創出することになるのか。防衛産業の成長にも資することになるのか。答弁を求めます(防衛大臣)。
中道改革連合としても、防衛装備移転は、インド太平洋地域の平和と安定に資する重要な政策手段となり得ると認識しております。しかし、完成品の移転は、地域の抑止バランスや緊張に直結するため、武力紛争当事国への移転を可能とする例外規定を設ける場合、その基準や例示は厳格であるべきであり、専守防衛の中で論理的に整合性を保ちつつ積み上げてきた我が国の安全保障政策とは、これからもその整合性を保ち続けてゆかなくてはなりません。
また、政府は「防衛装備移転三原則」において、「国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持」すると明記しています。
今般、防衛装備移転三原則の運用指針の一部である所謂五類型を撤廃する議論が防衛省及び関係省庁の中で検討が進められているとお聞きしております。そこで、先日、中道改革連合、立憲民主党・無所属、公明党は『防衛装備移転三原則の運用指針の見直し及び厳格化に関する提言』を政府に提出いたしました。
現行の五類型は、主にシーレーン防衛をはじめ海洋安全保障を念頭に、インド太平洋地域の平和と安定を図るための政策手段として設定されたものと承知しております。五類型を撤廃することは、この設定された枠組みから、より広範な防衛装備移転へと目的が拡大・変容する可能性があります。そこで、⑤なぜこのような可能性を含む装備移転が必要なのか、これまでの憲法の平和主義の理念との論理的な整合性は保てるのか、また、国連憲章を遵守するという平和国家としての基本理念に適うのか、これら必要性、正当性は事前に国会において国民の皆様に説明されるべきと考えますが、防衛大臣から受止を伺いたく存じます(防衛大臣)。
さらに、⑥新たに殺傷能力の高い武器を移転する場合は、閣議決定という行政府全体で責任を負うのみならず、立法府の政治的判断も仰ぐべきと考え、アメリカのFMS(対外有償軍事援助)の手続きを参考に、一定の額を超える案件については国会の事前通知を検討すべき、との内容が先の提言の中に含まれています。政府が検討している事後通知では国会の関与とは言えないのではないでしょうか、政府は一定の額などの条件を上回る武器移転の際の国会に対する事前通知についてどう考えますか、受けとめと、今後事前通知の検討を行うかどうかについて答弁を求めます(防衛大臣)。
次に、適法に行われた防衛装備品の移転であっても、譲受国において我が国の平和国家としての理念にそぐわない行為に用いられる可能性を論理的には否定できません。また、防衛産業の健全な成長は我が国の継戦能力強化のためにも必要ではございますが、国民の皆様に疑義を生じせしめるような政官業の関係は抑止されなければなりません。そこで、⑦防衛装備品の移転については、その高度な秘匿性に十分配慮しつつも、政官業の適切な距離感の下、移転判断の根拠やプロセスを可能な限り可視化し、事後的な検証を可能にする情報公開の仕組みを整えるべきと考えますが、防衛大臣から受止を伺いたく存じます(防衛大臣)。
次に、昨年、サイバー対処能力強化法及び同整備法が成立し、本年10月1日から施行されます。サイバー対処能力強化法ではサイバーディフェンスはもとより、いわゆる、アクティブサイバーディフェンスが任務として認められています。そこで、⑧サイバーディフェンスはもとよりアクティブサイバーディフェンスには高度なサイバー技術が必要であると推察されますが、本改正案では自衛隊サイバー防衛隊がどのように措置されているのか。また、対応する自衛官の人材育成はどうなっているのか、将来必要とされる有能なサイバー人材をどのように確保しようとしているのかについて防衛大臣の答弁を求めます(防衛大臣)。
次に、本改正案では、司令部を那覇市に置く陸上自衛隊第15旅団を第15師団に改編するとお聞きしております。自衛隊はできる限り地元住民の御理解と応援を得られるように努めなければなりません。この点、⑨防衛省は、第15旅団の師団化に備え、沖縄県うるま市に訓練所の整備を行おうとしていたが、地元のお声に配慮して令和6年4月に計画を撤回した、とお聞きしました。今般の師団化により訓練需要が増加すると予想されますが、地域住民の皆様の懸念を払しょくし、ご理解と応援を頂くためにどのように取り組んでゆくのかについて答弁を求めます(防衛大臣)。
宇宙は、軍事的な戦略の対象に限定されたものではなく、国家の安全保障そのものに関わる重要性を有しています。例えば、国民の皆様が日々活用されている位置情報システム(GPS)や気象通信衛星情報に基づく天気予報、災害監視など国民の皆様の生活や産業活動に不可欠なインフラでもあります。宇宙の重要性は、宇宙空間の安定的な利用を確保するため、国家安全保障戦略に位置づけられていることからもわかります。
この点、⑩本改正案では航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改編及び宇宙作戦集団の新編が講じられていますが、宇宙の重要性に鑑みると、宇宙への国防の取組は航空自衛隊だけで担うのではなく、陸自、海自はじめ防衛省全体をあげて取り組むべき分野であると感じます。そこで、このような重要性に鑑みつつも、宇宙防衛について航空宇宙自衛隊改編と宇宙作戦集団(仮称)を新編する意義について答弁を求めます(防衛大臣)。
言うまでもなく、自衛官は国民にとって尊い、本当に尊い存在です。であればこそ、自衛隊の政治的中立について国民の皆様が不安に感じるようなことを、政府は、厳に慎まれなければなりません。⑪今般、自民党大会で陸上自衛隊の女性隊員が制服を着て国歌を歌唱する場面があったとのことでございます。自衛隊法61条で自衛隊員の政治的行為が制限されている規定や、同法施行令87条で「公私の影響力を利用すること」が禁止されている規定に抵触するおそれがあり、自衛官及び自衛隊がこれまで積み重ねてきた国民の皆様に信頼して頂くための努力に傷がつきかねない事態だと思いますが、小泉大臣の答弁を求めます。また、小泉大臣は当該隊員の自民党大会の参加について事前に知り得る立場であり、参加の是非を判断し得る立場であったと考えますが、これを知った時点で何ら問題意識を持たなかったのか、見解をお聞きします(防衛大臣)。
中道改革連合は、平和の理念の下、憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、日米同盟と平和外交を軸とした、国民の平和と安全を守る現実的な外交・防衛政策を進めるために全力で取り組んでゆきますことを国民の皆様に固くお約束申し上げ、質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
以 上
