【衆院本会議】防災庁設置法案「『真の司令塔』機能を発揮し、防災・減災が主流となる社会の実現へ」中川宏昌議員

20260414【衆院本会議】防災庁設置法案 中川宏昌議員

 衆院本会議で4月14日、「防災庁設置法案に対する本会議質問」に対する趣旨説明質疑が行われ、中川宏昌衆院議員が会派を代表して質問しました。予定原稿は以下のとおりです。

防災庁設置法案に対する本会議質問


令和8年4月14日
中道改革連合 中川宏昌

 中道改革連合の中川宏昌です。

 会派を代表し、ただいま議題となりました、「防災庁設置法案」ならびに「防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」についてすべて高市総理に質問いたします。

 今日、4月14日は、最大震度7を二度観測した熊本地震の発生から、ちょうど10年という大きな節目を迎えます。改めて、この震災により犠牲となられたすべての方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 私たちは、未曾有の被害をもたらした東日本大震災、能登半島地震など、これまでの数多の災害で失われた尊い命と、今なお仮設住宅等で困難に直面されている方々の思いを、決して忘れてはなりません。

 我が国は、近年の気候変動の影響により、自然災害は頻発・激甚化し、全国各地で豪雨、台風や、地震、豪雪、噴火などの災害による深刻な被害に見舞われています。中央防災会議の発表によると、南海トラフ巨大地震では、最大死者約29万8千人、経済被害約270兆円に及ぶと予想されています。

 「国民の命と暮らしを守る」との崇高な使命と責任を託されている私達は、こうした国難級の災害に真正面から備えるべく、「防災・減災が主流となる社会」を必ず実現しなければなりません。

 私が公明党に所属していた時から、これまで、事前防災から復興までの一貫した司令塔としての防災庁の設置を公約に掲げ、その実現に向けて粘り強く訴えてまいりました。このたび、こうした長年の取組みが実を結び、防災庁設置にかかる法案が国会に提出されたことは高く評価致します。

 しかしながら、新たな組織となる「防災庁」は、各省庁の「屋上屋」とならないのか、各省庁の縦割りの弊害を克服できるのか、そして専門職人材を育成・確保できるのか、地域防災力は向上するのか等々の諸課題が解決される法案となっているのかが重要です。

 以下、具体的に質問をさせていただきます。

常設の司令塔としての役割について

 私は、能登半島地震発災直後から58回にわたり現地に足を運び、被災者の声に耳を傾けて参りました。被災現場には、机上では見えない厳しい現実があります。発災直後から被災自治体職員は、自らも被災しながら、避難所設営や物資支給、罹災証明書の発行などに昼夜を問わず尽力してきました。

 一方で、避難所環境の厳しさ、在宅避難者への支援不足、要配慮者を抱える家族の疲弊、情報不足への不安など、被災者を取り巻く困難は深刻です。さらに、65歳以上が55%を占める超高齢化や脆弱なインフラが復旧・復興を一層困難にしています。こうした課題は、防災庁設置を契機に抜本的に改革すべきです。

 法案が「科学的リスク評価に基づく事前防災」と「被災者の良好な生活環境の確保」を掲げた点は評価します。しかし、その実現には、防災庁の組織・制度・予算・人員配置の具体化と、「すべての人の尊厳を守る」という理念を根幹に据えることが不可欠です。

 防災庁が司令塔機能を発揮するにあたり、法案では、中央防災会議がカギを握ることになっていますが、その機能を十分に発揮できる仕組みになっているかということを危惧しております。

 そこで、中央防災会議が置かれる防災庁は、有事の際だけ号令をかける指揮組織ではなく、平時から、地方自治体や被災者支援の民間団体の意見が反映される仕組みを構築し、事前防災から応急対応、復旧復興までを切れ目なく支える「常設の防災司令塔」としての役割を果たせるように位置づけるべきではないか。また、防災庁と各省庁や実働部隊との役割分担を明確にして、防災庁が屋上屋とならない制度設計となっているのか、総理の答弁を求めます。

情報統合基盤の司令塔について

 次に、防災庁が実効性の伴う防災、減災を実行できる司令塔となるためには、縦割りを越える実行力、自治体に寄り添う伴走力、そして、情報を意思決定につなぐ統合力を持つことが不可欠です。

 災害時には、物資、医療、福祉、在宅避難者、要配慮者支援などの情報が、別々の機関、別々のシステムで管理されがちです。その結果、情報が集約されず、責任者の意思決定の判断に使えない、実行部隊に届かないという事態が起きています。

 必要なことは、防災庁、国の関係省庁、地方自治体、実働部隊の間で共通の状況認識を持ち、それらが、的確な避難判断、広域応援、物資輸送、医療・福祉支援の重点化へ直結する仕組みが重要です。

 防災庁はこの情報統合基盤の司令塔となるのか。誰が情報を入力し、誰が閲覧し、誰が意思決定し、誰が実行するのか。単なる「見える化」ではなく、デジタルで一元化された情報が、リアルの意思決定と現場執行にどう連動するのか、総理に答弁を求めます。

現場の実動力と自治体への伴走支援について

 次に、現場の実働力と自治体への伴走支援について伺います。

 災害を乗り越えてきたのは、最前線で動く現場の力です。しかし小規模自治体では、大規模災害時に支援の受入窓口そのものが機能不全に陥ることがあります。そこで不可欠なのが広域的な支援体制の標準化であり、全国共通の標準モデルを整備し、平時から訓練しておく必要があります。

 防災庁は、地方の出先機関である防災局を単なる地方自治体との連絡窓口ではなく、広域支援制度、物資輸送、情報集約、被災者支援の実働拠点としてどう構築するのか。また、災害時に支援を円滑に受け入れ活用することが困難な自治体に対し、平時からどのような伴走支援を制度として届けるのか、総理に答弁を求めます。

事前防災の推進について

 次に、事前防災の推進について伺います。

 私どもは、これまでも「日常の備えなくして危機管理なし」という考えを重視してまいりました。インフラの点検・補修による強靱化の推進、物資備蓄や地域防災訓練、災害弱者の把握など、地域防災力の向上こそ最大の危機管理です。被災者支援や応急復旧の強化と、災害を未然に防ぎ被害を軽減する事前防災は、まさに車の両輪です。

 そのためには、人員、物資、輸送、医療、福祉、通信などのリソースが十分にあるのかを、地域レベルで具体的かつ分野横断的にシミュレーションし、災害リスク評価を実施する必要があり、その評価に基づいて、避難計画、受援体制、備蓄計画、インフラ投資を進めるべきです。

 国・都道府県・市町村が連携して、各地域における災害リスク評価と、それに基づく事前防災をどう推進していくのか、防災庁の取組を総理にお伺いいたします。

被災者支援と福祉の法定化について

 次に、被災者支援と福祉の法定化について伺います。

 昨年の法改正で、私どもの強い働きかけで災害対策基本法・災害救助法に福祉サービスの提供が明記されたことは大きな前進です。しかし、理念が法律に書かれただけでは現場は変わりません。

 避難所における災害関連死を防ぐためには、初動段階から介護や福祉的ケアを確実に行き渡らせることが不可欠です。特に「TKB(トイレ・食事・寝具)」の確保は、避難者の命と健康を守るための最低条件と言えます。今後は国際的なスフィア基準を踏まえ、避難所環境の標準化とその導入を強力に推進していくことが求められます。

 能登半島地震では多くの介護関連施設が深刻な被害を受け、入居者を受入れることのできる介護施設が足りず、やむなく石川総合スポーツセンターを仮の受入れ施設としたものの、介護士の数が絶対的に不足しました。

 防災庁の制度設計において、在宅避難・車中泊・広域避難にも対応できる災害ケースマネジメントの拡充、いざという時に即応体制がとれるようDWATの充分な人員確保を、どこまで制度として担保できるのか。また、災害救助の概念を単なる生存から、尊厳ある生活の維持へと実質的に高める決意があるのか、総理に答弁を求めます。

専門人材の育成と産官学民の総力結集について

 最後に、専門人材の育成と産官学民の総力結集について伺います。

 災害のたびに、各省庁から人を集め、数年ごとの異動で入れ替わるこれまでの体制では、専門性も支援ノウハウも蓄積されません。防災庁が単なる出向者の寄り合い所帯で終わっては、真の司令塔としての役割を果たすことが難しくなると危惧されます。

 法案にある防災大学校を核として、専門職人材の育成・確保を進めることが最重要のミッションです。例えば、専門職人材育成の場として、アメリカのFEMAの訓練場であるディザスターシティを模して福島浜通りに設置されているロボットテストフィールドを活用することを提案します。

 また、自治体・民間・NPOとの人事交流を進めるとともに、共通指揮体系の整備を恒常的な仕組みとして定着させるべきです。防災DXについても、高齢者、障がいのある方、外国人を含め、最後の一人まで情報と支援が届く仕組みでなければなりません。政府の専門職人材の育成・確保、ならびに産官学民の総力結集に向けての具体的な方策をどうするのか、総理に答弁を求めます。

 防災庁の設置はゴールではなく出発点です。縦割りを排した実効性ある制度運用が示されて初めて、国民の信頼が得られます。平時のインフラ強靱化はもちろん、有事には専門人材が被災者の小さな声に寄り添い、生活再建までをキメ細やかに支え抜く。現場主義を貫く「真の司令塔」として機能することを強く求め、私の質問を終わります。

20260414【衆院本会議】防災庁設置法案 中川宏昌議員

【衆院本会議】防災庁設置法案への本会議質問原稿20260414.pdf

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