【衆院本会議】訪米帰朝報告に対する質疑「最大限の外交努力を」「武器移転の歯止めを」、河西議員

 衆院本会議で3月26日、高市総理の訪米に関する帰朝報告に対する質疑が行われ、中道改革連合・無所属の河西宏一議員が会派を代表して質問に立ちました。河西議員は、ホルムズ海峡をめぐる対応、対中政策と台湾に関する認識、自衛隊派遣の法的整理、海上警備行動の限界、SM-3ブロック2Aの増産、防衛装備移転三原則の見直しなどについて、高市総理、小泉防衛大臣、木原官房長官にただしました。

最大限の外交努力を安全保障の第一に

 河西議員は冒頭、今回の日米首脳会談について、イラン情勢のみならず、激変する世界情勢における日米関係の在り方、トランプ関税も踏まえた経済安全保障、極東への米国の関与など、国益を懸けた重要課題が焦点となったと指摘しました。
 その上で、ホルムズ海峡の安全確保に当たっては、自衛隊派遣を前提とするのではなく、「最大限外交に力を尽くすことが大前提」であると強調。戦略三文書の改定に当たっても、安全保障に関わる総合的な国力の第一として引き続き外交力を掲げるべきだとただしました。

 これに対し高市総理は、何より重要なのは、米国を含む国際社会とともに事態の早期沈静化と世界経済の悪化回避に取り組むことだと答弁。イランに対しても、エネルギー施設を含む民間施設等への攻撃や、ホルムズ海峡における航行の安全を脅かす行為を直ちに停止するよう働きかけてきたと述べ、関係国や国際機関と緊密に連携しながら、必要なあらゆる外交努力を行っていく考えを示しました。

対中政策と台湾認識をただす

 河西議員は、今回の会談における対中政策を念頭に置いた成果文書は米側のファクトシートのみであり、中国の名指しを避けている点に触れた一方、台湾に関しては昨年の共同声明と比べて「両岸問題の平和的解決を促す」から「支持する」へと一歩踏み込んだと指摘しました。米中首脳会談を控える中で、今回の日米のコミットメントをどう評価しているのか、総理の見解を求めました。

 高市総理は、ホワイトハウスが発表したファクトシートは米側が単独で発出した文書であり、その内容の逐一についてコメントすることは差し控えるとしたうえで、台湾に関する記述については、「米側ファクトシートの記述と認識を全く一にするもの」と述べました。

6カ国共同声明と自衛隊派遣の法的整理を追及

 河西議員は、3月19日に日本、英国など6カ国首脳によるホルムズ海峡に関する共同声明が発せられ、さらに33カ国にまで拡大したことに言及し、その意義や、日米首脳会談前に発するようわが国が積極的に関与したのかを質問しました。あわせて、「安全な航行の確保を目的とした適切な取組に貢献する用意がある」とした「適切な取組」とは何を指すのか、そこに自衛隊の派遣は含まれるのかをただしました。

 また、防衛大臣に対しては、備蓄原油の放出をしたばかりの時点では、直ちに機雷掃海に向けた存立危機事態の認定は考えにくいとして、当面なし得る対応は、重要影響事態あるいは国際平和共同対処事態における後方支援、防衛省設置法第4条による情報収集活動の領域拡張、自衛隊法第84条の二による停戦後の遺棄機雷等の掃海にとどまるのではないかと指摘しました。

 高市総理は、6カ国共同声明について、日本も当初から参加しており、ホルムズ海峡の安全な航行確保に向けた意思を示すものだと説明しました。そのうえで、「適切な取組」については、現時点で特定の取組が念頭に置かれているわけではないと答弁しました。
 小泉防衛大臣は、現時点で自衛隊派遣については何ら決まっていないとしたうえで、重要影響事態や国際平和共同対処事態に該当する場合には後方支援活動等が可能だが、現在の状況がこれらに該当するといった判断は行っていないと述べました。

国会承認と与野党協議の必要性を提起

 河西議員はさらに、国際平和支援法に基づく後方支援について、国連決議を踏まえた有志連合等に対しては可能であることを、総理はトランプ大統領に説明したのかと確認しました。加えて、国際平和共同対処事態の認定に当たっては、自衛隊派遣の前に例外なく国会の事前承認が必要であり、衆参両院には7日以内に議決する努力義務があることを踏まえ、今後の推移次第では与野党の党首会談を呼びかける考えがあるかをただしました。

 これに対し高市総理は、現在のイランをめぐる状況について、政府として国際平和共同対処事態に該当するとの判断は行っていないと答弁。そのうえで、一般論として、国会承認を求めるに当たっては、できるだけ幅広く各党各会派の代表に丁寧に説明したいと述べました。

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海上警備行動の限界と国際法上の課題を指摘

 河西議員は、船舶の護衛と個別的自衛権の行使についても質問しました。日本の船が攻撃された場合に、護衛している自衛隊艦船が反撃できるのか、公海上の日本関係船舶に対する攻撃があった場合に武力攻撃事態等と直ちに認定できるのか、事態認定前でも海上警備行動による護衛は可能かなどをただしました。

 さらに、海上警備行動をめぐっては、日本人が乗っている船であっても、船籍が外国であれば旗国主義の原則があり、「船に掲げる国旗の国が責任を持つという国際ルール」があると指摘。加えて、国際法上は自衛権と警察権を区別する概念がないため、自衛隊が必ずしも守れるとは限らず、海上警備行動の対象とできないケースも想定されるとして、国内法と国際法の狭間にある課題への認識を問いました。

 小泉防衛大臣は、武力攻撃事態等に該当するかは個別具体的な状況に即して判断することになると説明。海上警備行動は警察権の行使として行うものであり、法理上は我が国領域外でも日本関係船舶を護衛することは排除されないとしつつ、外国籍船である日本関係船舶を保護するために取り得る措置も、個別具体的な状況に即して判断する必要があると答弁しました。

SM-3増産の妥当性と米国への働きかけを問う

 河西議員は、日米両国で共同開発・生産してきた海上配備型の迎撃ミサイルSM-3ブロック2Aの生産量を急速に4倍へと増やすことが、米国のファクトシートに明記されたことを受け、国内企業の生産能力を十分に精査し、我が国の安全保障上の必要性を踏まえたうえで主体的に判断したのかと質問しました。

 また、SM-3ブロック2Aは米国への移転が可能であり、我が国は平時から部品を米国に提供している一方、今般は米国・イスラエルの攻撃に対するイランの反撃への対処に使われているとして、防衛装備移転三原則の運用指針との整合性に疑問を呈しました。そのうえで、日米同盟を軸とした我が国の安全保障を強固にしつつも、米国に対して国連憲章の遵守を主体的に働きかけるべきだと主張しました。

 高市総理は、SM-3ブロック2Aは日米両国にとって極めて重要な迎撃ミサイルであり、その増産への協力は、同盟の抑止力・対処力強化の観点から重要だと答弁。国内企業の生産能力を効率的に増強して実現可能であることを確認しており、企業としっかり連携して進めていくと述べました。

武器移転の歯止めと国会関与の強化を求める

 河西議員は、防衛装備移転三原則の運用指針改定についても追及しました。現在、日本が自衛隊法上の武器に当たる防衛装備の完成品を輸出できるのは、一部の国際共同開発・生産品やライセンス生産品のほか、救難・輸送・警戒・監視・掃海の五類型に限定されていると指摘。与党の提言は、この五類型を撤廃し、殺傷能力のある武器の移転も一定の条件の下で認めるものだとして懸念を示しました。

 そのうえで、移転対象を、国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務付ける国際約束の締結国に限定するだけでなく、当該国際約束を締結し、かつこれを誠実に履行すると認められる国に限定すべきだと主張しました。さらに、米国のFMSでは一定額を超える案件について議会への事前通知が義務付けられていることを挙げ、わが国でも国会への事前通知や、反対決議がないことを移転の条件とすべきだと求めました。

 これに対し木原官房長官は、見直し内容を現時点で予断することは控えるとしつつ、防衛装備移転をさらに推進し、同盟国・同志国の抑止力・対処力を向上させる必要があると説明しました。一方で、個別案件ごとに厳格に審査し、移転後の適正管理が確保される場合に限って認めるという基本的な考え方は維持すると答弁しました。

例のない武器移転は閣議決定で判断すべきと主張

 最後に河西議員は、過去に例のない武器移転案件については、いわゆる四大臣会合で行うのではなく、GCAP次期戦闘機の完成品を第三国に移転する場合と同様、閣議決定を行うべきだと主張しました。

総理訪米帰朝報告に対する質疑原稿案 河西宏一議員(2026年3月26日).pdf

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