【衆院本会議】地方税財政関連法案が審議入り「人口減少とインフレに対応した地方税財政のあり方にしっかり向き合うべき」神谷議員

衆院本会議で3月5日、「令和8年度地方財政計画及び地方税法等の一部を改正する法律案」および「地方交付税法等の一部を改正する法律案」について代表質問が行われ、神谷裕議員が登壇しました。予定原稿は以下の通りです。
2026年3月5日
令和8年度地方財政計画及び地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する趣旨説明質疑
中道改革連合・無所属
神谷 裕
中道改革連合の神谷裕です。
私は、会派を代表し、令和8年度地方財政計画及び地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について、林総務大臣に質問いたします。
この冬、雪国では、災害級の大雪に見舞われました。
そのような中での急な解散・総選挙で自治体には、準備に大きな負担をかけました。
解散表明から投票まで、きわめて短期で行われ、在外投票や洋上投票など、投票したくても物理的に出来なかった有権者が出たのではないかと危惧しております。国が投票する権利を実質的に奪うとなれば大きな問題です。こういった事象はなかったのか総務大臣に伺います。
雪という物理的障害が投票機会を制約した可能性も否定できません。現に投票所の数を減らした自治体を聞いています。準備期間の短い厳冬期の選挙が有権者の投票に影響がなかったのか大臣の所感をお伺いします。
選挙では積雪による掲示板設置への影響や暖房設備の追加などかかり増し経費が生じました。こうした実費を全額措置するなど、選挙にかかった費用について責任を持って対応していただきたいと思いますが、あわせて伺います。
また雪国では除排雪に多額の財政負担も生じています。特別交付税の前倒し交付が行われていますが、雪国では結果として降雪が無くとも、除排雪の準備体制そのものにも多額の経費が必要です。大雪被害を受けた自治体は当然にして、結果として降らずとも除雪体制準備が必要な地域の財政支援についても万全を期すべきと考えますが如何でしょうか。
さて、来年度の地方財政は財源不足が縮小し、地方の一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで前年度を大幅に上回る3・7兆円増の67・5兆円となりました。また、地方交付税総額についても、前年度を大幅に上回る1・2兆円増の20・2兆円となり、かつ、臨時財政対策債は昨年度に引き続き新規発行額が計上されない上、臨時財政対策債償還基金費が創設されることに加え、交付税特別会計借入金残高が2・9兆円縮減されるなど、地方財政の健全化が図られるものと受け止めます。
令和8年度地方財政計画では、国・地方折半ルールや臨時財政対策債の発行可能期間の延長が行われないなど、これまでの財源不足を前提としたものとは異なる内容となりました。そこで、折半ルールの期間及び臨時財政対策債の発行可能期間を延長しなかった理由を伺います。また、臨時財政対策債は事実上廃止されたと理解してよいでしょうか。あわせて、平成13年度から24年間発行されてきた臨時財政対策債について、その意義やメリット・デメリットをどのように評価していますか。かりに今後、巨額の財源不足額が生じた場合については、どのように対応するお考えなのか伺います。
総務省は、概算要求時に交付税率の引き上げを事項要求しています。私も必要な財源が不足する場合や財政収支に大幅な不足が生じる場合には、地方交付税の法定率の引上げを行い、安定的に交付税総額の確保を図る必要があると考えます。交付税率の引き上げについて林大臣の見解を伺います。
交付税特別会計についておたずねします。今回、交付税特別会計の借入金0・7兆円を国の一般会計が引き受ける代わりに、一般会計から交付税特別会計への必要な支出を特例で同額減らし、国債による手当てを不要としました。一方、交付税特会は、令和7年度末時点で一般会計に対し、国税減額補正精算分や国税決算精算分として2・0兆円の未精算額があります。これらのうち0・7兆円を前倒しで返済すれば、財政投融資特別会計に対する一般会計の借入金が増加することはなかったと考えられます。国債の大幅な増発を避け、財政規律への配慮を演出した奇策とも言われていますが、国税減額補正精算分等の精算前倒しではなく、交付税特会借入金を一般会計の借入金に振り替える方策を採ったのはなぜなのか伺います。
交付税特会の既存債務の縮減に2・9兆円を活用し、また単年度限りの措置として、臨時財政対策債償還基金費0・8兆円が創設されています。こうした一部を活用すれば、令和8年度の財源不足額1・0兆円を解消出来たのではと思われます。財源不足額を解消するよりも、既存債務の縮減を優先した理由についてお答えください。
交付税特会の借入金は、毎年度借換えを行う必要があることから、金利上昇の影響を受けやすく、借入金残高が減少しているにもかかわらず、支払利子予算額は増加しています。金利上昇の影響を考慮し、今後も可能な限り交付税特別会計借入金の償還を前倒ししていくべきと考えます。大臣の見解を求めます。

地方公務員の給与改定について、人事委員会勧告に伴う給与改定に要する経費として6,800億円が確保され、また、一般行政経費に給与改善費として4,000億円が計上されました。また、会計年度任用職員の給与等については取扱いを変更し、一般行政経費から給与関係経費に移し替えられ、1兆9,600億円が計上されました。より会計年度任用職員の処遇改善にかかる財源が明示された措置として評価します。今回、会計年度任用職員の給与等を、給与関係経費に計上することとした理由、積算方法の変更の有無、会計年度任用職員のさらなる処遇改善の考え方について、林大臣に伺います。
一方、公営企業・公立病院・一部事務組合等の会計年度任用職員については明らかではありません。公営企業繰出金の758億円に盛り込まれているとすればその内数を示していただきたいと思います。
公立病院の令和6年度の赤字病院の割合は83・3%、経常収支赤字は3,952億円となっています。今回、持続可能な地域医療提供体制の確保に向け、物価高騰を踏まえた病院事業繰出金の増額や、不採算地域における医療提供体制の確保についての支援が行われます。一定評価できるものの、厳しい状況にある医療機関の経営改善や賃上げ原資としては不十分です。不採算地区病院等への特別交付税措置の基準額の更なる引き上げも必要だと考えます。持続可能な地域医療提供体制の確保に向けた支援について大臣のお考えを伺います。
物価高・官公需の価格転嫁への対応として、委託料や維持補修費などについて0・6兆円の増額を計上するとともに、価格転嫁に積極的に取り組む自治体の財政需要を交付税の算定に反映させるとしています。十分な支援となるよう引き続き精査し、令和9年度以降の地方財政計画においても、必要かつ十分な規模で継続的に計上し、物価高等の対応に万全を期すべきと考えますが、大臣の所感を伺います。
地方税制の改正で、軽油引取税の当分の間税率の廃止や自動車関連税の環境性能割の廃止が行われます。ガソリン暫定税率と合わせ自民党多数の国会では絶対に実現しなかった政策の大転換と言えると思います。大変に画期的なことと考えますが、これらの減収分については、地方特例交付金で全額を補填することになりました。しかし、軽油に関する安定財源の確保については、令和9年度税制改正に結論が先送りされ、自動車関係は期限のないまま「国の責任で手当する」としています。今後どのようにしてこれらの代替となる安定財源を確保していくおつもりなのか伺います。
所得税制では、いわゆる「年収の壁」を178万円に引き上げることになりました。約0・7兆円の減税となりますが、地方交付税への影響について、どのように対応されるか伺います。また、議論を本格化させる食品消費税の減税によって、1年間で約5兆円の減収が見込まれます。消費税の減税に伴う地方税財政への影響額がどの程度かお聞きします。あわせて地方の財政運営に支障がないようにすべきと考えますが、如何でしょうか。
いわゆる教育無償化に係る地方負担3,552億円の財源としては、租税特別措置の見直しによる交付税の増分及び公庫債権金利変動準備金の活用分が充てられることとされています。その財源の内訳について明らかにしてください。公庫債権金利変動準備金についてはワンショットであり、安定財源についてはどう確保するおつもりですか。
いわゆる学校給食費の無償化については、負担軽減のための「給食費負担軽減交付金」が創設され、国から都道府県に交付するとともに、地方負担分については地方交付税の基準財政需要額に算入することになりました。しかし不交付団体は持ち出しになりますが、この点について、大臣は如何お考えなのか伺います。
自動車税等の環境性能割を廃止することとしています。自動車産業は日本の経済と雇用を支える重要な産業ですが、自動運転等、100年に一度の大転換期を迎えています。加えてトランプ関税や、国内新車販売台数の減少の中、自動車関連の税負担の軽減は必要な事と考えます。かつて自動車が奢侈品と捉えられた時代はすでに終わり、公共交通が脆弱な地方では生活の必需品です。
そこで、来年度以降の自動車関係諸税の総合的な見直しについてどのように検討を進めていくのか総務大臣の答弁を求めます。
個人住民税については、給与所得控除の最低保障額の引き上げを行うこととされています。平成30年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、給与所得控除や公的年金等控除を10万円引き下げるとともに、基礎控除を10万円引き上げることとされました。給与所得控除の最低保障額の引き上げと平成30年度税制改正における考え方との整合性についてどのようにお考えですか。
ふるさと納税制度については、高所得者ほど控除限度額が高いため返礼品で得られる利益が大きく有利な制度となっており、「金持ち優遇」との指摘もあります。今回、住民税控除額に193万円の上限を設けるとともに、事務費等の募集費用を段階的に引き下げることになりました。社会課題の解決や災害支援といった返礼品を目的としないふるさと納税については、特例控除額の上限を設定しないことなどについては検討されなかったのですか。そもそもふるさと納税については、「居住地課税」の原則などの基本的問題も解決されておらず、この際、抜本的に見直すべきと考えます。総務大臣の見解を伺います。
一極集中や税源の偏在によって、地方の財政力の格差が拡大しています。その点で、今回、都道府県民税利子割に係る精算制度の導入が盛り込まれたことは一定評価します。与党の税制改革大綱では、「偏在性の小さな地方税体系の構築」について令和9年度の税制改正で結論を出すとしています。税源偏在による地域間の税収格差の拡大に対し、財政力の格差の是正や偏在是正は必要だと考えますが、東京都の税収の一部をさらに国税化して、地方に配分するとしても、地方税の総額そのものを増やすことにはなりません。財政調整制度である地方交付税の充実・改革や、偏在性が少ない税目について国税から地方税へ税源移譲することもあわせて検討すべきと考えます。「偏在性の小さな地方税体系の構築」について総務大臣の見解を伺います。
最後に、人件費、施設やインフラの整備費・維持補修費、エネルギー価格、金利など、デフレ時代には潜在的だった財政負担要因が顕在化しています。地方分権・地方自治を徹底し、地域と住民の暮らしにかかわる問題を地域自らが決定できる仕組みに変えていくためにも、人口減少とインフレに対応した地方税財政のあり方にしっかり向き合っていく必要があると考えます。最後に林総務大臣の地方税財政改革についての決意をお伺いし、質問を終わります。
以上
